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私は、何故そこにいないのか。

この頃、ふだん買っている卵のにおいが気になって、
いくつか品を変えて手に取ってみたが、どれも変わらなかった。
以前から、卵についての宣伝の表記が、
栄養の付加価値をつける言葉ばかりなのも気になっていた。

数年ぶりに、たまごを主に扱うお店を訪れてみたら、
そのドアには、前月から値上げしますと、理由を添えて記されていた。
「飼料の値上がり」…想像どおりの文言に、大きく頷く。
この世界情勢下、値上がりして当たり前なのだ。
それを思うと、値引きと付加栄養価を売りにしているスーパーの卵が、
いったい何を与えたものなのかと、少し怖くなる。
あのにおいが私の勘違いでないなら…。

たまご農家が生きていくために、安全なたまごを提供するために、
数十円の値上げは許容範囲だからと大いに納得して、購入して帰った。

その翌日。
朝刊一面の見出しに打ちのめされる。
世界銀行の試算では、食料の1%値上げにより、1000万人の極度の貧困者が生まれるとのこと。
たまご数十円、小麦粉数十円の値上がりは許容範囲と、
生産者を守ることになるのだと、そんなふうに思った自分を恥じた。
自分は支払えるということが前提の傲慢さに恥じ入った。

思えば、病気の流行だけではない、戦いの火種も、不作も飢饉も世界中にあり、
この国の、自分の、今の生活を当たり前とする感覚に、自分で恐ろしくなった。
猛暑・電気料金値上げ・節電とメディアは声高に叫ぶけれど、
電気も水も食料も医療もなければ、死に向かうしかない今の地球環境は、
受け容れるしかない自然淘汰という神の意思なのではないかとふと思う。
そんな折に偶然か必然か、再放送ドラマやドキュメンタリーで過去の戦争に触れ、
心乱される中、矢も楯もたまらず、これを書いている。

だからこそ、だからこそ本当に大切な、
一瞬の生命なのだ、ということを、心に深く刻んで。
私は今、何故そちら側にいないのか。
ただ享受するだけの傲慢に気づき、その意味を問いつづけ、
この自分にできることを、考えていかなければと思う。






# by kazetsumugi | 2022-06-08 12:22 | つぶやき | Comments(0)

雪時々止む

「曇時々雪」
「晴時々曇」
「晴後曇」
「曇一時雨」
「曇時々晴」
先には漢字ばかり並んでいる最初に、
「雪時々止む」。

2月5日、きょうの天気予報。
あまり見ない表記に、心がふっと緩む。
空の神様も時々、お休み。








# by kazetsumugi | 2022-02-05 11:32 | つぶやき | Comments(2)

続くもの

そして、空。
日々、刻々と、つながりながら移り変わる色。
ひとつとして、過去と同じかたちにはならない雲。
けれど変わらず、必ず、そこにいてくれる、
それは、わたしたちの時間そのもの。
心がぎゅっと縮んだ時は、空を見る。
そこには、たった一瞬でも、動いてゆく何かがある。
ありきたりの答えかもしれないけれど、
空の色、雲のかたち、が、
雑音にまみれたわたしの心を、ひと押し、動かしてくれる。
高い方へ、高い方へ、と。






# by kazetsumugi | 2021-10-28 10:23 | つぶやき | Comments(0)

なぐさめ


心が曇って、どんなできごとにも気持ちが動かなくなる時がある。
すりガラスの箱に閉じこめられたようで、手をのばすこともできず、
何を見ても、聞いても、ガラス越しの遠いできごとのようで。
もう二度と幸福感はやってこないのではないかという、
不安と恐怖と絶望が静かに押し寄せる。

ガラスの箱から長く出られずにいたある日、ふと、
どうにかもがいてみなければ、と、
目に映るものをひとつひとつ、時間をかけて心に映そうと試みた。
通りがかった公園で、四季桜の花を目にした時だった。

小さな白い花たちは、まだ若い木にちらほらと、
季節を外したような顔で、遠慮がちに咲いている。
それを目の奥で愛でていたら、温かいものがじんわりと、胸にこみあげてきた。

川ぞいを自転車で走れば、カーブした桜並木で夕陽とすれ違い。
北国から届いたりんごの頬は、淡くトキ色に上気して。
パキラの葉裏に並んだしずくが、虹色にきらめいて。
寝転がった和室の窓いっぱいに、秋の夕暮れの風が吹きこみ。
宵闇の歩道のどこかから、今年初めての金木犀が香り。

心に映るものをひとつひとつ味わううち、
暑い長い夏から引きずってきた、
重い重い心と身体が、
それらとつながろうとする。
その時、温かい何かが湧きあがる。

ただ在るがまま生きているものたちが、
自分では見えなくなったちからの呼び水になってくれること。
そして、心の手をつないでくれること。
それが、なぐめられるということ。
万物に見守られ、なぐさめられて、生きて在るわたし。


# by kazetsumugi | 2021-10-11 14:56 | つぶやき | Comments(0)

ただ、書く

梅の季節になった。
今年はどうしようか迷っていた梅仕事に、
思いがけず声をかけてくれた方がいて、
遠く梅の産地から、直送してもらうことが叶った。
瑞々しく、甘い香りに満ちた梅の実たちの姿に心が和んで、
送ってくださった農園に、すぐにお礼の手紙を書いた。

取り出したのは、少し前に見つけた、空のびんせん。
幾種類かの空の時間が描かれていて、
どれを選ぼうか、店頭でずいぶん迷った。
刻々と移り変わる空の色を想いながら、
そのびんせんに綴りつづけるうち、
力んでいた何かがふと緩んで、
手紙を書くことに没頭していた。

上手く書けなくても、
迷わず、何も考えず、ただ、書く。
思いの丈を、書く。

そんなふうに、小さな「書く」を重ねていけば、
何かが積み重なってゆく。
それがやがてかたちを成し、いのちを宿し、
わたしに語りかけてくる。
その日を、信じて。




# by kazetsumugi | 2021-06-19 18:02 | つぶやき | Comments(0)

日々思ふこと、さらさらと。


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